広報業務委託を"外注"で終わらせない。広報・PRの社内ナレッジ化の進め方

広報・PR業務をPR会社に委託しているものの、ノウハウが社内に蓄積されず、外注頼みのまま何年も経ってしまっているという企業は少なくありません。
広報・PRのナレッジ化は、やる気さえあれば短期間で実現できる、というものではなく、広報・PRという領域の特性上、簡単には実現できない難しさがあります。
本記事では、ナレッジ化が進まないよくある理由と理解しておくべき広報・PRの基本を整理し、外注しながら社内に知見を積み上げていくための具体的なポイントを解説します。
●広報・PRの社内ナレッジ化が進まない理由
日常業務に追われて知識の資産化まで手が回らない
広報担当者の中には、マーケティングや営業企画などを兼任している人も少なくありません。そのような中でプレスリリースの作成、取材対応、SNS運用などをこなしながら、施策を振り返り、知見を整理する時間を確保するのは簡単ではありません。
広報・PRのノウハウは、経験を言語化して初めて組織の資産になります。振り返りの時間がないことが、社内ナレッジ化を阻む最大の理由の一つです。
成果が定量化しにくいため属人化しやすい
営業のように数字だけで成果を測れないため、『あの担当者だからできた』『あのPR会社だから成功した』という属人的な状態になりがちです。
成果の背景や判断プロセスが共有されなければ、担当者の異動や退職、外部パートナーとの契約終了とともにノウハウも失われてしまいます。
外部パートナーの知見を吸収できていない
PR会社へ委託している企業でも、企画立案から実行まですべてPRプランナーに任せきりになってしまい、月次報告で掲載結果を確認して終わっているケースが多く見られます。
しかし本当に重要なのは、なぜその媒体にアプローチしたのか、なぜその施策を選んだのかという判断の背景です。ここをプロから吸収できなければ、せっかくのPR活動が経験として蓄積されず、PRの社内ナレッジ化は進みません。
そもそも広報・PRは短期間での内製化に向いていない
広報・PRには、社会の時流や空気感を読む力や、メディアが求める視点を捉え、自社の情報を翻訳して伝える力など、経験によって培われる感覚が多く存在します。そのため短期間での完全な広報内製化は難しく、段階的に自社の力へと変えていくことが必要です。
●広報・PRの社内ナレッジ化をするために知っておくべきこと
広報・PRはマニュアル化しづらい
同じネタでも、時期や媒体、担当記者によって響く切り口は変わります。そのため広報・PRでは、相手に合わせた伝え方やストーリーを展開する力が必要です。事実を伝える文脈を重視する業務であり、マニュアルによる作業フローで理解することに向いていません。
広報・PR人材育成は中長期的な視点で考えなければならない
メディアの視点で物事を考える力や、社会との接点を見つける力は、一朝一夕では身につきません。PR人材育成にはその“PR脳”を養うことが重要であり、ある程度の時間をかけて実践と振り返りを繰り返しながら培われるものです。
ナレッジを吸収するための社内担当者の時間確保が必須
広報のナレッジ化を進めるためには、担当者に学ぶ時間を与えることが欠かせません。外注先のPR会社やPRプランナーからナレッジを吸収するためには定例会に参加し、結果の共有を受けるだけでなく、資料を読む時間、振り返りを行う時間、社会や経済のいまを学ぶ時間も業務として認める必要があります。
外注していても社内担当者は専任にするのがベスト
他業務との兼任で広報担当を置き、その負担を軽減するためにPRを外注する企業が多いですが、兼任ではどうしても目の前の業務が優先され、知識を学び、咀嚼する余裕がありません。広報担当育成を進め、ナレッジ化することを考えるのであれば、できる限り専任体制を整え、広報・PR業務に集中できる環境を設けることが重要です。
●外注しながら社内ナレッジを積み上げるためのポイント

報告は、解説つきで行ってもらう
結果の報告だけでなく、なぜその施策を選んだのか、なぜその媒体へ提案したのかまで、外注先のプロからは結果だけでなく背景も言語化してもらいましょう。全体を理解することで、社内の広報・PR理解力は大きく向上します。
委託先との定例を確認会にせず「学習の場」にする
外注先のPRプランナーとのミーティングは進捗共有だけで終わらせず、広報・PRの基本的な考え方や業界に関するメディアによる報道の動向についてレクチャーを受ける時間を意図的に設けることが重要です。毎月少しずつでも知識を積み重ねることで、ナレッジ化への道筋が見えてきます。
小さな施策から社内担当者が主体で動かす
実務は卓上の学習に勝ります。委託先のサポートを受けながらでも、プレスリリース1本、取材調整1件など、小さな施策から担当者が主体で動き自社で完結させる経験を積み重ねましょう。少しずつ社内で対応できる範囲を広げていくことで、PR会社に依頼できる幅も広がり、連携力も強化され、より大きな成果を獲得しやすくなります。
社内担当者の学びを言語化する
レクチャーを受けた内容や実行した小さな施策について、社内担当者の学びを言語化しましょう。『なぜ掲載につながったのか』『記者は何を評価したのか』を記録し、チームで共有する時間を設けましょう。小さな学びの積み重ねが積み重なることで、やがて組織の財産になります。
●広報・PRの社内ナレッジ化支援の成功事例
事例①
あるIT企業はグループ企業を複数持っており、社内の情報が広報担当者に集まるような仕組みが構築されていませんでした。そのため情報発信は常に後れを取り、広報担当者もどうすれば改善できるのかわからない状態が続いていました。
そこで外部PRプランナーは各グループ企業から情報窓口をピックアップし、広報担当者に「何を聞けばいいか」「どのように情報を掘り下げるべきか」をサポートしながら、社内ヒアリングにも同席し情報の吸い上げ方をレクチャーしました。社内担当者は徐々に自分で動いて情報を集める習慣が付き、またグループ企業も何を共有すればいいのかを理解し、グループ全体での横軸の情報共有ナレッジが構築されました。
事例②
BtoC事業を行うある企業はワイヤーサービスを活用し頻繁にプレスリリースを発信していましたが、新商品告知の内容に終始していたため、メディアには注目してもらえませんでした。そこで外部PRプランナーは “PR脳”を養うためのレクチャーを定期的に開催し、自社情報に社会性を結びつける感覚を広報担当者に教えました。また、そこで得た学びを広報担当者から社内にアウトプットさせることで、全体の意識の底上げにも注力しました。
その結果、徐々にその企業のプレスリリースの内容はPRの考え方が踏襲された内容へと変わっていき、メディアの目にも留まるようになったことでメディアからの問い合わせや掲載が増えていきました。
事例③
ある地方企業では広報担当者が不在のため、経営者が窓口となりPR会社に外注していました。しかし多忙な経営者が広報実務まで行う時間の余裕はなく、すべて外注に丸投げした結果、思うような成果を得ることができず、また別のPR会社と契約するという負の連鎖が起きていました。
そこで外部PRプランナーはまず経営者に、自社の財産を作るうえでも広報担当者が必要であることを説明し社内ナレッジ構築を勧めました。将来的なコストを考えたうえでも社内ナレッジの必要性を理解した経営者は社員のひとりを広報担当に任命し、外部プランナーには主に担当者育成を依頼しました。
いまでは社員から能動的に施策案が生まれるなど、広報自走に向けた取り組みは順調に進んでいます。
●社内ナレッジ化のためにPR会社やPRプロ人材の外注を賢く使うポイント

“代わりに動く”のではなく伴走してくれるPR会社やPRプロ人材を選ぶ
PR代行を主なサービスとしているPR会社やPRプロ人材は多く、一見効率的な外注に見えますが、ただ外注するだけでは社内に資産は蓄積されません。
なぜ代行が多いか、その理由はナレッジこそがPR会社やPRプロ人材の価値であり、クライアントに共有するものではないというのが一般的な考えだからです。
そのため、外注時には社内担当者の成長を一緒に考えてくれるパートナーを選ぶことが重要です。ナレッジ共有や育成支援が可能かどうかは、契約前に確認しておきたいポイントです。
早期の社内ナレッジ化を求めず、確実に積み上げる
広報・PR力の習得には時間がかかります。焦って掲載などの短期的な成果を求めるのではなく、外部の専門性を活かしながら段階的に知見を蓄積していきましょう。
広報・PR機能の成熟度に合わせて委託範囲を柔軟に変える
戦略立案、メディアリレーション、コンテンツ制作など、広報・PRの業務範囲は非常に広いものです。自社の成熟度に応じて、内製と外注のバランスを見直し続けることで、広報・PRナレッジの向上につながります。
ココモンズなら、広報・PRの社内ナレッジ化支援も可能
広報・PRのナレッジ化やPR人材育成を進めたいものの、『何から始めればいいかわからない』『社内に経験者がいない』という企業は少なくありません。
社内ナレッジ化には決まったやり方はなく、その会社ごとの体制や課題に応じたきめ細かいサポートが必要です。広報・PRのプロ人材の知見を利用し、自社に最適なかたちでナレッジの蓄積を進めていくことが、広報・PRの成功の近道です。
ココモンズでは、経験豊富な広報・PRプロ人材をそろえ、社内担当者の育成やPRの社内ナレッジ化を見据えた伴走型支援も行っています。ぜひご相談ください。

