広報・PRで成果を出す企業が持つ“3つの習慣”。経営視点・社内広報・中長期視点のPR戦略がポイント

広報・PRに取り組んでいるものの、思うように成果が出ないと感じている企業は少なくありません。一方で、継続的に成果を生み出している企業には、いくつかの共通した“習慣”があります。
本記事では、PRで成果を出す企業に共通する3つの習慣とそれぞれをどのように実践すればよいのかを具体的に解説します。また、3つの習慣を組織に定着させる方法や専門家の活用についてもご紹介します。
●PRで成果を出す企業に共通する3つの習慣とは
PRで成果を出すには、さまざまなポイントがありますが、とくに共通している習慣があります。たとえば、次の3つです。
・PR戦略を経営視点で設計している
・社内を巻き込むPR戦略をつくっている
・中長期的な成果を見据えている
それぞれの習慣について具体的なポイントを見てみましょう。
●習慣1:広報戦略・PR戦略を経営視点で設計している
広報・PRで成果を出す企業は、広報戦略やPR戦略を経営活動の一部として捉えています。その中心にあるのが、事業と連動した戦略設計です。経営視点での設計とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。具体的に解説します。
◯広報戦略・PR戦略を事業目標から逆算して立案する
経営視点で広報戦略・PR戦略を設計するポイントは、事業目標から逆算して考えることです。ただ情報発信をしたり、メディアリレーションを構築したり、フォロワー増加施策を立案したりするのではなく、事業目標から逆算して戦略を立て、発信や施策の優先順位を明確にすることが重要です。
たとえば「3年以内に業界のリーディングカンパニーになる」という事業目標があるとします。この場合、PRの役割は世の中での知名度を上げることではなく、業界内で信頼と権威を確立することではないでしょうか。
あるいは、「採用強化」が事業目標である場合は、会社紹介ではなく「社員の働き方」や「キャリア事例」を軸にしたコンテンツ設計が必要になります。これにより、求める人材にとって魅力が具体的に伝わり、応募の質やマッチ度の向上につながります。
このように、事業目標から逆算して“誰に・何を・どう伝えるか”を設計することで、情報発信は単なる露出増加ではなく、売上・採用・ブランド価値向上といった成果に直結する施策へと変わります。
PRを“伝える仕事”ではなく“事業を前進させる仕事”として位置づけることが、経営視点のPR設計の基本といえます。
◯経営メッセージを一貫させる
トップのビジョンを軸に据えることで、PR全体に一貫した方向性が生まれます。
しかし、ビジョンが共有されていない場合、部門や施策ごとに異なるメッセージが発信されてしまい、何を目指している会社なのかが分かりにくい状態に陥りがちです。その結果、情報が積み上がらず、ブランドとしての認知や信頼の形成にもつながりにくくなります。これは多くの企業が陥るPRの難点です。
経営メッセージを軸に発信を設計すれば、個々の施策がストーリーとしてつながり、企業としての一貫した印象が形成されます。その積み重ねが対外的な信頼性を高め、結果としてブランド価値の向上や中長期的な成果につながっていきます。
◯KPIを定め検証をくり返す
PRにおいても、マーケティングや営業の領域と同じく、KPIを定め検証をくり返すことが重要です。
しかし、PRの評価においては、掲載数やPV数だけでなく、滞在時間・回遊率・リピート率といったファン化の指標を重視するのがポイントです。
たとえば、PVは高くても滞在時間が短い場合、タイトルと中身の乖離が起きている可能性があります。これでは、どれほどPV数が多くてもPRは成功とはいえません。訴求軸・構成・文章を見直すことで、流入ではなく“理解・共感”につながるコンテンツへと改善することが大切です。
また、PRの評価においては口コミ・SNSコメント・アンケートなど定性的な反応も含めて分析し、改善につなげるようにしましょう。
◯平時から信頼残高を積み上げる視点を持つ
広報・PRは短期施策ではなく、信頼を積み重ねていく活動です。継続的な発信によって、いざというときに想起される存在を目指します。
信頼残高とは、日頃の情報発信・メディアとの関係構築・社会への誠実なコミュニケーションを通じて蓄積される「会社への信頼の貯蓄」です。これが積み上がっていると、新商品のリリース時に取り上げてもらいやすくなったり、採用候補者が"働きたい会社”として安心感を持ったり、危機的な状況が生じたときに「あの会社なら信じたい」と思ってもらえたりと、事業のさまざまな場面で良い影響を及ぼします。
反対に、発信が必要なときだけ動く都合のいい広報をしていては、メディアからも生活者からも信頼を得にくく、いざというときに声が届きません。
経営者がPRを「コストではなく投資」として捉えるべき理由は、まさにここにあります。日々の小さな発信と誠実な情報開示の積み重ねが、長期的には会社の最大の資産になるのです。
●習慣2:社内を巻き込むPR戦略をつくっている
成果を出している企業は、広報・PRを広報部門だけの仕事と捉えていません。広報・PRの成果は、「どのように発信するか」だけでなく、「何を語るか」で大きく左右されるからです。社員一人ひとりの理解や共感は、“語る内容”の質に大きくかかわります。具体的に見てみましょう。
◯インナーブランディングを意識する
まず重要なのは、社員自身が自社に誇りを持てる状態をつくること、つまりインナーブランディングです。
インナーブランディングの定義としては、社内の人たちが会社のミッションや価値観を自分ごととしてきちんと理解し、体現できる状態をつくる取り組みだとされています。社員一人ひとりが会社の顔となり、ブランドの体現者になることを目指すものです。
インナーブランディングが不十分な場合、社員ごとに認識が異なり、発信内容にばらつきが生じます。その結果、メッセージに一貫性がなくなり、情報が蓄積されずブランドとして思うように認知を獲得しにくくなります。また、社員が誇りを持っておらず、不満を抱えているような場合は、会社にとって大きなリスクとなり得ます。
一方で、価値観やストーリーが社内に浸透している企業では、誰が発信しても同じ方向性が保たれ、社員たちが誇りを持って生き生き働いていることで企業の成果や魅力向上にもつながりやすくなります。
◯パーパスや強みを言語化して共有する
自社のパーパスや強みを明確にし、全社員が共通認識として持てる状態を整えることも重要です。部門ごとや担当者ごとに異なるメッセージが発信され、外部から見た企業像がぼやけてしまわないよう、きちんと言語化して共通言語として整理しましょう。
そうすることで社員一人ひとりの発信が同じ方向に揃い、情報や信頼が一貫した“ブランド”として積み上がっていく状態が生まれます。
◯社員が語れる状態をつくる
会社のパーパスや強みを言語化して共有するだけでなく、現場の社員が自ら同じメッセージを“語れる状態”をつくるのが理想です。
広報部門はもちろん、営業活動・採用活動・日常のコミュニケーションなど、どの場面でも社員たちが自社について一貫したブランドとして語れると、あらゆる場面がPRの機会になります。
とくに、社員の言葉は企業の公式発信と比較して信頼性が高く、よりリアルな情報として受け取られやすい傾向があります。社員の生の声による発信は説得力を高め、採用や顧客からの理解にも好影響をもたらします。
朝礼や社内研修などを活用し、インナーブランディングの一環として発信力を強化していくとよいでしょう。
◯現場から情報が上がる仕組みを整える
各部門と連携し、日常的にニュースの種を収集できる仕組みを整えるとPRは一気に成功に近づきます。
現場には、顧客との具体的なエピソードや実体験に基づくストーリーが多く存在します。それらが自然に集まる仕組みを整え、広報・PR活動を「ネタがある時だけ行うもの」から「日常的に発信できるもの」へと変えていきましょう。
豊富な情報のなかから、とくにメディアに取り上げられやすそうなものやユーザーに直接届けるべきものなどを取捨選択し、状況や媒体に応じた発信をすることがPRの成功に欠かせない道筋です。
◯成功事例を社内に周知する
掲載実績や反響を社内に共有することで、広報・PRの意義が組織全体に浸透していきます。
広報・PR活動の成果が見えない状態では、社員の関心や協力は得られにくいものですが、成功事例を共有することで、自分たちの情報や発信が価値を生んでいるという実感が生まれます。
とくにテレビや新聞などのマスメディアに取り上げられた際には、必ず周知しましょう。それによって、社員のモチベーションや会社を誇りに想う気持ちが醸成されていきます。
好循環が生まれることで、インナーブランディングがさらに強化され、広報・PR戦略全体の推進力が高まります。

●習慣3:中長期的な成果を見据えている
広報・PRはすぐに結果が出るものではありません。成果を出している企業は、中長期視点で広報戦略・PR戦略を設計し、運用しています。
◯PRはすぐに結果が出るものではないと理解する
まずは、広報・PRは信頼を積み重ね、資産を形成していく活動であることを改めて念頭に置いて戦略立案や実施をしていきましょう。
短期的な成果を求めすぎると、メディア露出が取れない、あるいはSNSフォロワーが増えないことなどで失敗だと判断し、施策を止めてしまいがちです。しかし、広報・PRは経営が続く限り、続けていくべきものです。中長期視点で実施しましょう。
◯ブランドの一貫性を保つ
たとえ一時的な話題づくりに成功しても、瞬間的な注目は集まるものの、企業としての印象は定着しません。「どこの会社のサービスなのかわからない」「名前だけは知っているが、何をしている会社なのかわからない」などの状態に陥りやすくなります。
ブランドとして認識されることを意識し、伝えるメッセージの軸を維持しながら、PR施策を行いましょう。
◯改善をする前提で広報戦略・PR戦略を運用する
ブランドの一貫性を保ちつつも、改善をくり返すことが重要です。
まずはPR活動を行って、反響の高いテーマや切り口を分析したり、社会や市場の変化に応じて柔軟に発信する情報や切り口を調整したりと、改善を行うことで次の施策の精度が高まります。
初期の広報戦略・PR戦略に固執せず、長期的な視点に立って改善を行いながら運用しましょう。
◯メディアとの関係を少しずつ確実に構築していく
単発で情報発信をするだけでは、なかなか掲載にはつながりません。
メディアとの関係性は、一度の接点ではなく、継続的な情報提供や信頼の積み重ねによって構築されます。この企業なら取り上げる価値があると認識され、将来的な掲載機会の増加につながるよう、少しずつでも着実にメディアリレーションズを継続しましょう。
◯メディア視点・ユーザー視点で価値を再定義する
PRを成功させるためには、ただ自社が考える商品・サービスの優れた点を宣伝するのではなく、メディア視点・ユーザー視点で価値から情報を再定義することが重要です。
メディア視点としては、社会的意義・新規性・ユニークな切り口などが必要でしょう。また、ユーザー視点では、購入者の生活や人生にどのようなメリットをもたらすかというイメージ・ストーリー・具体性などを意識しましょう。
それだけでも情報の伝わり方は大きく変わります。
◯リスクを想定した広報戦略・PR戦略を策定する
短期的な成果を優先するあまり、炎上や不祥事といったリスクへの備えが不十分になってしまう企業も少なくありません。
とくにSNSなど即時性の高い媒体は、手軽で身近であるというメリットがある一方、小さな判断ミスが大きな危機をもたらす恐れもあるものです。
あらかじめリスクを想定し、投稿のためのレギュレーション・対応フロー・返信の判断基準などを整備しておきましょう。
プレスリリースや公式サイトにおいても、世に出してしまったものはたとえページを非公開にしても、スクリーンショットなどで永続的に残ってしまう可能性があります。十分なリスク想定のもと、広報戦略・PR戦略を策定し、実行してください。
●広報戦略・PR戦略において3つの習慣をつけるために
PRを成功させるためには、専門的な知見や継続的な取り組みが必要です。今回ご紹介した3つの習慣をつけるためには、PRのプロを採用したり、外部の専門家を活用したりするのが有効です。
外部パートナーとしてPRのプロに任せることを検討するなら、PRプランナーが多数在籍するサービスを利用するのがおすすめです。
広報・PR人材が多数在籍する「ココモンズ」には、多様な領域に専門性を持つプロの中から、自社の課題やフェーズに合ったPRプランナーをご紹介することが可能です。
実際に「ココモンズ」に在籍するPRプランナーで本記事の執筆者が手がけたPR成功事例を、最後にご紹介します。
◯習慣化やサポートで成功に導いた事例紹介
①経営視点のPR戦略強化により6か月でメディア取材10件以上獲得
マーケティング担当者がPRを兼任し、なかなかメディア取材につながらなかったアパレル製造・販売メーカーさまからご相談をいただきました。
まずは社長が考えるミッション・ビジョンを起点とした戦略づくりをするべく、月2回の広報・PRミーティングに社長にも参加してもらい、専任の広報担当者さまを配置していただきました。
専任担当者さまに広報・PRの基本や、経営者の想い・同社の存在意義・事業や取り組みの社会的意義を基盤とした切り口での発信をレクチャーし、メディアリレーションを行うことで、6か月でメディア取材を10件以上を獲得しています。
②社内を巻き込むPR戦略の実施で採用と社員定着に好影響
人材不足が課題の福祉業界や飲食業界の企業において、採用強化を目的に、社員の働きやすさや働きがいをPRすることに加え、社内に広報・PRの意識を根付かせ情報が集まる状態を構築するご支援を行いました。
まずは社員の意見を集められる仕組みづくりを実施。社内の声を拾って実現可能な改善から取り組んでいただくことで、社員が安心して働ける環境づくりを進めていきました。さらに、実際に寄せられた声とその改善策をプレスリリースにも掲載するなど、広報・PRの力で取り組みを見える化していきました。
また、会社への信頼と広報・PRへの関心が高い社員へインタビューを行い、採用サイトに掲載したり、メディアリレーションを通じて社員が取材を受ける機会をつくったりと、社内を巻き込むPRを展開しました。
その結果、リファラル採用の増加や、優秀な人材の採用につながったほか、社員の定着率の向上などインナーブランディングの点においても様々な好影響が出ています。
③中長期的な成果を見据え、PRに成功
PR戦略においては中長期的な視点が欠かせません。広報・PR業界内では、広報・PRの体制が確立するのは3年程度が目安とも言われます。さらに、PRは経営が続く限り続いていく活動です。
これまで、法律・医療・福祉業界のほか、アパレルや飲食などのメーカー・通信事業社・IT企業・教育関連企業などさまざまな領域の成果創出をサポートしてきました。
継続して広報・PRを行った結果、ファン化・ブランド化・インナーブランディングはもちろん、安定したメディア取材の獲得、SEOによる上位表示、CVRのアップ、SNSフォロワーの増加などの目に見える成果にも確実につながっています。
どんな業種・業態においても、広報・PRは正しく継続すれば必ず成果が出るものです。まずは3つの習慣化を目指して少しずつ進めてみてください。
また、自社の広報・PRについてお悩みの方や、事例の具体的な企業名やより詳しい内容を知りたい方などは、お気軽に「ココモンズ」へお問い合わせください。

