採用広報は人事担当者がやる?広報PR担当者がやる?役割分担を整理

採用広報に取り組む企業が増えるなか「採用広報は人事担当者がやるべきか、広報PR担当者がやるべきか」と悩む声も増えています。
採用広報は、どちらか一方が担うものではなく、それぞれが持つ専門性を活かした役割分担と連携が成否を大きく左右するものです。
本記事では、人事担当者と広報PR担当者それぞれが担うべき役割を整理したうえで、人事担当者だけで進めた場合に直面しやすい課題や、広報が加わることで生まれるメリットなどを解説します。
●採用広報の基本
まずは、採用広報の基本について改めて確認しましょう。
◯採用広報とは
採用広報とは、自社が求める人材に向けて、企業の文化・価値観・働く環境・社員のリアルな声などの情報を発信し、認知・理解・共感を深めてもらうための活動です。
従来の採用活動が求職者からの応募を待つスタイルだったのに対し、採用広報は自ら情報を届けてファンを増やしていくアプローチとして、近年多くの企業が注目しています。
求職者が入社後に思っていた会社と違ったと後悔するミスマッチを防ぎ、企業側は自社に本当にマッチした人材と出会うために、非常に重要な役割を持っています。
◯採用広報=求人活動ではない
採用広報と一般的な求人活動(人材募集)はイコールではありません。求人活動は、給与・勤務地・仕事内容などの募集条件を提示し、就職・転職したい人を集めることが主な目的です。一方で採用広報は、企業ブランドや日々のストーリーを通じて、まだ就職・転職を本格的に考えていない層も含めた未来の候補者に対して、中長期的に自社の魅力を伝えていく活動です。
◯採用広報の成功には、人事と広報の連携が欠かせない
では、採用広報は誰がやるべきなのでしょうか。
採用広報には「採用の専門知識」と「広報の専門知識」の両方が必要です。そのため、採用広報を成功に導くためには、人事担当者と広報PR担当者が連携できる社内体制が欠かせません。
人事が持つ「どのような人材が必要か」という視点と、広報が持つ「どうすれば社会やターゲットに魅力が伝わるか」という視点をかけ合わせて、求める人材の心に深く響くコンテンツを生み出すことが、成功への第1歩です。
●採用広報において、人事担当者が担うべき役割

まずは、採用広報において人事担当者が担うべき役割についてご紹介します。
◯採用ターゲットの設計と要件定義
人事担当者のもっとも重要な役割は、どのような人物を採用したいのかというターゲットの設計と要件定義です。
現場の部署が求めるスキルや経験をヒアリングし、自社のカルチャーに馴染む人物像を具体的に描き出します。ターゲットの解像度を高く設定することで、情報発信の軸が固まり、広報PR担当者も「誰に向けてコンテンツを作ればいいのか」を明確にイメージできるようになります。
たとえば、20代の営業職を採用したい場合、「新卒から大手企業で3年経験を積み、個人としてのスキルアップに限界を感じて、より裁量の大きなベンチャーへの転職を模索している」など、求める従業員の価値観やキャリアの志向まで踏み込んで設計を行うのがコツです。
◯応募から内定までの選考プロセスの設計
採用広報によって自社に興味を持ってくれた求職者が、実際に応募した後の選考プロセスの設計も人事の担当領域です。面接のステップや、各選考フェーズで候補者にどのような体験をしてもらうかなどを設計します。選考の対応が丁寧で迅速であれば、採用広報で築いたよい企業イメージがさらに強固なものになります。
◯現場との連携によるリアルな情報収集
求職者がもっとも知りたいのは、入社後に一緒に働くことになる現場のリアルな雰囲気ではないでしょうか。人事担当者は、日頃から各部署の社員や現場責任者と密にコミュニケーションをとり、社内の最新ニュースや現場で起きている素敵なエピソード、働くメンバーの本音といった情報を継続的に収集し、広報PR担当者と共有しましょう。また、情報収集の際は「働きやすい」「風通しが良い」といったどの企業でも言えそうな一般的な特徴ではなく、自社だからこその文化や価値観、働き方が伝わる情報を意識することで、より自社らしい採用広報につながります。
●採用広報において、広報PR担当者が担うべき役割

では、採用広報において、広報PR担当者が担うべき役割にはどのようなものがあるのでしょうか。
◯企業ブランドの一貫したメッセージ設計
広報PR担当者は、採用広報を通じて発信されるすべての情報が、会社のブランディングとズレていないかを確認し、一貫性のあるメッセージを設計する役割を担います。
どれだけ魅力的な記事であっても、会社全体のビジョンやコーポレートイメージと矛盾していれば、求職者を混乱させてしまいます。企業の目指す方向性と採用のメッセージを綺麗に結びつけるのが広報の役割です。
◯ファン化やメディア視点を重視したコンテンツ企画
読者が自社のファンになってくれるようなストーリー性のあるコンテンツを企画するのも広報PR担当者の役割です。
社会から自社がどう見えているかという第三者視点を取り入れることで、社内の人間だけでは気づけない独自の強みや面白さを引き出すことができ、求職者が読み進めたくなるような"読ませるコンテンツ"をつくることができるようになります。
◯発信チャネルの最適化と露出設計
どんなに素晴らしいコンテンツを作っても、ターゲットに届かなければ意味がありません。広報PR担当者は、オウンドメディア・SNS・マスメディアなど、さまざまな発信チャネルの特性を理解し、いつ・どこで・何を公開するのがもっとも効果的かを戦略的に設計・実行することが大切です。
●人事だけで採用広報を進めると直面しやすい課題
人事だけで採用広報を進めている企業も少なくありません。しかし、広報と協力できる社内体制をつくらないままだと直面しやすい課題もあります。
◯募集要項が中心で魅力が伝わらない
人事担当者だけで発信内容を企画・作成しようとすると、どうしても給与・福利厚生・勤務条件といった条件面の説明にとどまってしまいがちです。これでは他社との差別化が難しく、求職者にとっても企業の個性が見えてきません。どのような価値観を持つ会社なのか、どんな仲間が働いているのかという情緒的な中身が伝わらず、ミスマッチの原因になってしまうケースは多く見受けられます。
◯発信が募集時のみの単発になる
人事だけで採用広報を進めていると、どうしても人材が不足した時だけ集中的に発信するという単発のアプローチになりやすくなります。採用広報は日々の積み重ねによるブランディング活動であるため、発信が途切れてしまうと、中長期的なファン作りにつながりにくくなります。
◯採用情報と企業イメージにズレが生じる
会社全体の広報活動と連携せずに人事単体で情報発信をすると、企業の公式なメッセージと、採用サイトが発信しているイメージに乖離が生じてしまうことがあります。媒体によって一貫性がないと、候補者はどちらの姿が正しいのかわからず、企業に対する信頼感が薄れてしまう原因になります。
●広報PR担当者が採用広報にかかわるメリット
ここからは、改めて広報PR担当者が採用広報にかかわるメリットについて見てみましょう。
◯外部視点で魅力を再発見できる
広報PR担当者がチームに加わることで、社内のメンバーでは当たり前すぎて見過ごしてしまっていたような、自社ならではの魅力を第三者視点で再発見できるようになります。
◯ストーリー性のある発信で共感を生むことができる
広報のプロフェッショナルは、事実をただ伝えるだけでなく、共感を生むストーリーに編集するスキルを持っています。
たとえば、入社3年目でプロジェクトリーダーを任された若手のインタビューであれば、どのような壁にぶつかりどう乗り越えたのか、上司やチームがどのように支えたのかなどの背景まで描くことで、候補者は自分が働く姿を具体的にイメージしやすくなります。
◯中長期での採用ブランディングができる
広報がかかわることで、今すぐ求人に応募してもらうことだけを追い求めるのではなく、「将来的にここで働いてみたい」と思ってもらえるような中長期的なファン作り、つまり採用ブランディングが可能になります。
継続的に質の高い情報を発信し続けることで、企業の信頼性や魅力が社会に少しずつ蓄積され、いつでも優秀な人材が集まりやすい土壌を作ることができるのです。
●効果的な役割分担と進め方
採用担当者と広報PR担当者では、どのように役割分担をして社内体制を整え、採用広報を進めればよいのでしょうか。
◯戦略設計は人事と広報が共同で行う
採用広報をスタートする際の戦略設計は、人事担当者と広報PR担当者が共同で行うことが重要です。人事が持つターゲット像の視点と、広報が持つ一貫したブランディングの視点を最初から統合しておくことで、施策の方向性にブレがなくなります。
◯人事担当者は候補者との接点・選考・フォローを主導する
戦略が決まったら、人事担当者の本来の強みである候補者との直接的なコミュニケーションの領域を主導します。会社説明・実際の選考プロセスの進行・内定後のフォローなど、求職者1人ひとりに寄り添う役割に集中するのが理想です。採用広報で高まった期待感を支えましょう。
◯広報PR担当者はコンテンツ制作を主導して進める
コンテンツ制作の実務は広報PR担当者が主導して進めるのがおすすめです。人事担当者が現場から集めてきたリアルな社内情報や社員の声などを、広報が培ってきた編集の専門性を活かして、求職者の心に届く魅力的な文章やデザインに仕上げましょう。チャネルに応じた適切な表現選びを徹底し、発信の質をコントロールします。
●PRプロ人の採用広報サポート成功事例
ここでは、広報PRの外注によってどのような成果が期待できるのか、実際にPRプロ人材がサポートし、採用広報がうまくいった事例を簡単にご紹介します。
◯成功事例1:丁寧な社員インタビュー記事で希望の人材を採用できるように
フランチャイズ事業を展開する企業の採用サイトで、社員が働く様子の写真を増やし、2000字以上のインタビュー記事を15名以上、掲載しました。さまざまな社員がさまざまな角度から同社について語る記事によってミスマッチは大幅に減り、企業側が採用したい人材を採用できるようになりました。また、採用情報サービスを掲載する外部サイトでも記事を公開し、数百社ある企業が公開する膨大な記事のうち閲覧数1位を獲得しました。
◯成功事例2:SNSが採用応募の後押しに
医療機関のSNSを刷新し、戦略的に院内の様子や取り組みを日々発信することでフォロワー数がサポート前に比べて10倍ほど増加しました。採用人材にアンケートをとったところSNSの投稿で知ったり後押しになったりしたという回答を多数得られました。
◯成功事例3:プレスリリースとSNSの連携でミスマッチが起こらないように
人材会社にて、プレスリリースという公式の場に、サービス内容だけでなく、企業が目指す姿やどのような社会貢献を目的としているかをきちんと記載するよう改善を行いました。一方で、SNSでは日常の雰囲気を伝える発信をつづけていました。プレスリリースとSNSの一貫性を意識して発信を積み重ねた結果、求める人材からの応募が増え、ミスマッチが起こらなくなりました。
●採用広報に強い広報PRプロ人材を外注するのも成功への近道
社内に広報PR担当者がいなくても、採用広報を強化することは可能です。近年では、採用広報や採用ブランディングをサポートするPRエージェントやPRプランナーに依頼をする企業も増えています。
採用広報を外注するメリットは、社内だけでは気づけなかった魅力や強みを客観的に整理できることです。また、採用広報に精通した専門家が伴走することで、発信内容や戦略の精度も高まります。
ココモンズには、広報PRに特化した経験豊富なプロフェッショナルが在籍しています。採用広報に強い最適な広報人材の外注をお考えなら、いつでもご相談ください。

