INTERVIEW
Behind the scene


常識を覆す。スキットルズ®︎を“買う理由”をつくったコミュニケーション戦略
「おいしい不要品」という逆説的なキャッチコピーを掲げ、消費者インサイトを突いたスキットルズ®のユニークなキャンペーン。その企画意図と反響について、本プロジェクトをリードしたアウル株式会社 萩原に話を聞きました。

今回実施したキャンペーンの背景について教えてください。
萩原:スキットルズ®はアメリカでは人気のお菓子ですが、実は日本市場では過去2回、1995年と2010年に参入し、いずれも1年で撤退しています。美味しさや機能性が重視される日本の菓子市場において、スキットルズ®のユニークな商品特性がなかなか受け入れられなかったようなんです。
2度の撤退を踏まえて、今回はコミュニケーション面でどのような工夫をされましたか?
萩原:以前と比べパッケージは変わったものの、正直に言えば、商品自体は以前と何も変わっていません。ただ、だからこそ、これまでとはまったく違う切り口で臨まなければならないと感じました。安くて、美味しいお菓子ばかりの日本市場で定着するためには、「スキットルズ®だから買う理由」を新しくつくる必要があったんです。
どのような戦略を立てたのですか?
萩原:クライアントから、市場調査の段階では、「歯にくっつく」「色がどぎつい」「もらっても嬉しくない」といったネガティブな声が大半だったという話を伺いました。それに1人の消費者として、多くのお菓子のCMや店頭を見ていても差異がないというか…
しかし、逆にそれらがヒントになり、「日本の消費者は美味しいものに囲まれすぎていて、予定調和的なマーケティングに飽きている。」というインサイトを導きました。
そこに「劣勢にある者を応援する」という日本特有の“判官贔屓”の文化も掛け合わせ、「おいしい不要品」という逆説的なメッセージをつくり出し、話題となった全27パターンの自虐クリエイティブに繋がっていきました。
インサイトと




“おいしい不要品”というのはかなり大胆な発想ですね。
萩原:はい。栄養士、歯科医、教師などのKOLに「スキットルズ®はおすすめできない理由」を語ってもらい、その正直な言葉をそのまま広告にしました。
「虫歯になる」「栄養がない」「不要だ」とまで言われると、逆に「なぜそこまで?」と気になってくる。人間の心理を突く“Caligula Effect”(禁止されると逆に試したくなる心理)を狙ったものです。
専門家の

管理栄養士 
歯科医 
教師
具体的にどんなコミュニケーション施策を展開したのですか?
萩原:テレビCM、交通広告、SNS、店頭販促、そしてPRをフルに使った統合型キャンペーンです。
とくにSNSでは「#スキットルズはどこにある?」という投稿が相次ぎ、売り切れ店も続出しました。さらに「不要品を配る車」を走らせて、再入荷後すぐにサンプリングし、話題を持続させました。

TVCM 
キャンペーン 
サンプリング
キャンペーンの反響はいかがでしたか?
萩原:話題性と売上の両面で大きな反響をいただきました。SNSキャンペーンを実施しなくても、想定を大きく上回るインプレッションとエンゲージメントを記録し、全国ネットのテレビでも取り上げられました。
その結果、ブランド認知と購入意向が一気に向上し、取扱店舗が急増。売上面でも「三度目の正直」として、日本市場への定着を果たしました。
ユーモアの要素も強く感じました。その意図は?
萩原:スキットルズ®︎のブランドフィロソフィーは「固定観念を覆し、人々に気づきを与え、笑顔にする」こと。従来の“美味しさ競争”とは一線を画し「栄養がない」「おすすめできない」と堂々と言い切ることで、お菓子に対する既成概念を揺さぶりたかったんです。お菓子って、「買ってみて面白い、食べてみて楽しい」といった消費スタイルもあるはずなので。
“逆張り

最後に、キャンペーン成功の秘訣はなんだったと思いますか?
萩原:スキットルズ®のように、長らく商品特徴が変わらずに目立ったセールスポイントがなくてもブランドは再生できます。日本特有のカルチャーや消費者インサイトを深く掘り下げ、スキットルズ®らしくネガティブをポジティブに転換したことで、“普通じゃない”スキットルズ®が“買われる理由”になったんだと思います。
そして、何よりも重要なのは、今回のように型破りな取り組みを実施されたクライアントの勇気ある判断があったからですし、企て側として「共犯関係」となれたことに、感謝しかありません。
Project member credits

クリエイティブディレクター
布施 優樹
国内外のクリエイティブアワードで多数受賞し、カンヌライオンズ(2017)とSpikes Asia(2014)ではグランプリを獲得。その後、GROOVE X社でコーポレートブランディングやLOVOTのマーケティングを担った後、Birdman社でCCOに就任し最高売上を達成。フリーランスを経て2024年10月、アウル取締役CBOに就任。

PRディレクター
萩原 空良
2C商材を中心にPRを担当。SkittlesやRitualsなど外資ブランドの日本上陸支援をはじめ、SNS・オフラインを含むPRプロモーションを企画・実行。「宣伝会議」等メディア掲載実績も多数。現在はプロジェクトプロデューサーとして課題に応じた体制構築・推進をメインで担う。
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